日本社会は、基本的には、相互に一体化して集団で行動するのを好む液体タイプの社会であるが、社会の中のある部分では、液体性が徹底されておらず、気体的になっている部分が存在する。
液体タイプを示す動画↓(液体分子運動シミュレーション)
気体タイプを示す動画↓(気体分子運動シミュレーション)
1つめは、欧米文化の導入が盛んな箇所である。戦後の日本においては、アメリカ流の気体的な性質の憲法が導入され、天皇を含め国民がそれに従うことが求められたため、従来の天皇を頂点とする官庁=お上の上に、更にアメリカとかの「スーパーお上」が出現し、そこから気体的なドライな空気が日本社会全体に向けて絶えず吹き付けるようになっている。そのため、国全体が絶えず気体化の波にさらされているのである。
あるいは、今までにない新しい目の付け所の学説や製品は、引き続き欧米からやってくることが多く、その導入にいそがしい学界や業界は、奥底には、学閥とかコネに頼る伝統的液体的体質を温存しつつ、表面は気体的な欧米文化の影響で気体化している。
2つめは、非正規雇用の人たちである。日本社会では、会社や官庁に入社する際の関門の厳しさが増しており、正社員になれずに派遣、契約社員になる人たちが続出している。日本社会は、どこかの集団に正規に所属して「ウチ」に入っていないと、人間らしい生活が保障されない。非正規雇用の人たちは、どこの会社にも正規に入れてもらえず、その時々に会社に一時的に雇用されるだけで、用が済んだらさよならされて、社会の中を一人一人孤独にさまよい続ける、流砂のような生活をすることになる。その点、彼ら非正規雇用の人たちは、一人一人がバラバラに独立して動く気体とよく似た動きをしていると言える。
むろん本当の気体と本質的に違う点が存在する。それは、本当の気体タイプの人の場合は、自分から進んで、他人と離れて一人自由になって独立自立し、自分の目標を明確に定めて高速で能動的にアタックしようとする気概が強いことである。これに比べて、日本の非正規雇用の人たちは、本当は、自分たちもどこかの会社に正規に雇用されて正社員となって、会社に所属、一体化し、あわよくばずっと安定した正社員の地位を続けたいと言う気持ちが強いのではないだろうか。また、明確な目標を持たずに、その時々の条件のいい働き口なら何でもいいと思って、その時々の条件に流され漂流する受動的な性格を持っているように思われる。
3つめは、東京のような大都会に住んでいる人たちである。大都会では、人の出入りや移動の動きが激しく、隣がどういう人だか分からないアパートやマンションにいきなり引っ越したりするのがざらである。そのため、自分の身の安全に敏感で身元の知れた信用できる人としか付き合おうとしない傾向のある日本人は、そうした何者か分からない自分の周囲の人とはできるだけ関わりをもとうとせず、各自が一人孤立して住居に住むことになる。その様子が、一人一人バラバラな個人単位で動こうとする気体タイプと似ているのである。
むろん本当の気体と本質的に違う点が存在する。それは、大都会の日本人が、本質的には、身元の確かな信頼のおける相手だと分かった場合は、相互に強い一体感で結ばれた、伝統的な「ムラ」的=液体的な人間関係を作るということである。隣の人が誰だか分からないところに住んでいる勤労者も、自分の勤め先の会社に出社すると、「ウチの会社」で気の置けない同僚と、家族のような親密さや一体感で協調して仕事をするのである。