以前、会社員向けの栄養飲料広告で「24時間働けますか」といった宣伝文句が連呼されていたが、日本の人たちは、自分が入社、入学した、会社、官庁、学校といった所属組織に対して、24時間、全人的に没入することが望ましい、という考えを持っている人が多いようである。
全時間、全人格を、所属する会社とかのために全面的に捧げる、所属する会社に完全に呑まれる、包含されることが望ましいと考えるのである。そして、部分時間的にしか働かないパートタイマーを、不完全な雇用形態とみなして、見下そうとする。
これは、自分の心身全体を完全に温かく包んでくれる、完全に閉じた球形空間であり、母の母胎として捉えられる。24時間完全に所属組織に内包、包含されるのを望むのは、所属組織を母に見立てて、全身を温かく、柔らかく受け止めてほしいという心理が、心の奥底で働いているからであり、所属組織への全人的没入は、母性への依存心がなせる業であるということができる。
こうした、母性を体現し、構成員を全人格的に没入させ包含する、構成員にとってお母さん代わりの存在である日本の会社、組織や共同体は、「母的会社」「母的組織」「母的共同体」ということができる。