マザコンは、母親による子供の一体支配を、子供が母親の意を汲んで自発的に受け入れている状態のことである。母性の力が強い日本では、結構メジャーな現象であると思われる。
日本においては、マザコンは、女性の立場の違いから、同一の女性にとって否定的にも肯定的にも捉えられる。
これから結婚する、あるいは結婚した嫁の立場の女性にとって、マザコンは、望ましくない、否定すべきものである。
自分の彼氏や夫が、姑と親密にくっついて、姑の同盟軍となって、自分のことをあれこれ批判したり、支配しようとするのに反発したり、彼氏や夫がそうなるのを避けようとして、「マザコン男はダメ」と、マザコンを必死になって批判する。
ところが、そのようにマザコンを批判していた同じ女性が、自分の子供、特に息子を持つと、子供が可愛くて、子供との一体感を楽しみにするようになり、子供を自分の思い通りに動かしたいという支配欲も働いて、子供がいつまでも自分の元にベタベタ愛着を持ってくっつく状態=マザコンを肯定的に捉えるようになる。「マザコン歓迎」となるのである。
自分の姑や夫に対しては、「マザコン反対」で、自分の子供に対しては「マザコン賛成」という、相反する立場を、両方場合に応じて便利に使い分けて、矛盾に気づかないか、気づいても開き直っているのが、日本の女性の現状であると言える。